特別インタビュー 第1回

ロボットクリエイターの仕事、ロボカップの魅力、そして将来のサイエンティストたちへ

ロボットクリエイター 高橋智隆さん

「西暦2050年までに、FIFA World Cup のチャンピオンチームに自律型ヒューマノイド・ロボットのチームで勝利する」。そんな壮大な夢を目標に掲げたロボットの世界大会「RoboCup」(以下、ロボカップと表記)。2021年はアジアパシフィック地域の大会「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」が2021年11月25日(木)から11月29日(月)まで愛知のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催される。
日本を代表するロボットクリエイターのひとり、高橋智隆さんはかつてロボカップ世界大会に5年連続で出場し、チームが5連覇を成し遂げた実績を持つ。公式スペシャルインタビュー第一弾は、輝かしい経歴を持つ高橋智隆さんにロボカップや子ども達の育成について聞いた。

ロボットクリエイターの高橋智隆さん。シャープのロボホンと、東京大学先端科学技術研究センター内の高橋研究室にて。

ロボットクリエイターの高橋智隆さん。シャープのロボホンと、東京大学先端科学技術研究センター内の高橋研究室にて。

高橋さんが手がけたロボットは、シャープの「RoBoHoN」(ロボホン)、デアゴスティーニの「週刊ロビ」、ロボット宇宙飛行士「Kirobo」(キロボ)、パナソニックの「エボルタ」など多数。ロボット業界では、目がキョロっとした独特なデザインは「高橋デザイン」と呼ばれ、親しまれている。

デアゴスティーニ・ジャパンから発売された「ロビ」シリーズは累計で15万体以上が販売され、コミュニケーションロボットの金字塔をうちたてた。(写真は「週刊Robi2」の発表会にて:著者撮影)

デアゴスティーニ・ジャパンから発売された「ロビ」シリーズは累計で15万体以上が販売され、コミュニケーションロボットの金字塔をうちたてた。(写真は「週刊Robi2」の発表会にて:著者撮影)

高橋さんは計4個のギネス世界記録も持っている。最近では2018年12月に「乾電池を動力にしたロボットが泳いだ世界最長距離」として認定された。また、2004年には高橋さんが制作したロボット「クロイノ」が米タイム誌で「最もクールな発明」に選ばれ、ポピュラーサイエンス誌では「未来を変える33人」に選出された。
これらの輝かしい経歴を持つこの高橋さん、実はロボカップ世界大会に出場した経験がある(TeamOSAKAの一員として)。2004年は初出場にして初優勝。「ルイ・ヴィトン ヒューマノイドカップ」を手にした。これはヒューマノイドリーグの優勝者に授与されるバカラ社クリスタルグラス製の優勝カップ。ヒューマノイドロボットが世界一を競うサッカー大会において、特別な意味を持つカップと言えるだろう。
以来、TeamOSAKAは2005年~2008年まで連続して世界大会で優勝。2008年には、ロボカップ世界大会5連覇を達成した栄誉に対し、大阪市長よりTeamOSAKAに特別表彰を授与した(TeamOSAKAは2008年の優勝を最後に解散)。

世界的に注目されるきっかけとなった「クロイノ」。(ロボガレージ公式ホームページより)

世界的に注目されるきっかけとなった「クロイノ」。(ロボガレージ公式ホームページより)

ロボットクリエイターとはどんな仕事?

ロボカップはとてもいい経験と思い出をくれました

編集部
高橋さんは「クロイノ」が注目された2004年にロボカップに初出場、それからチームは5年間優勝し続けました。ロボカップに出場したきっかけとその頃のロボカップはどんな状況だったのか教えてください。

高橋さん
当時、大阪大学の石黒浩教授が開発中のロボットをお手伝いすることになって、その打合せの中で、「2005年にロボカップが大阪で開催されることになり、公式主催地チームの公募があるので、ヴイストンや石黒研究室と共同チームを結成し出場しないか」という誘いを頂いたのがきっかけです。 それまで、ロボカップのことはある程度知っていましたが、実はロボコン的な大会には出たことがなかったので、その時はこんなに楽しく、そして厳しいものだとは想像もしていませんでした。

編集部
引き受けた理由は?

高橋さん
私はちょうど「クロイノ」を開発中でした。ヴイストン取締役の前田さんが趣味でラジコンサーボ用の小型マイコンボードとプログラミングをするためのエディタを試作していて、それをクロイノに搭載したかったんです。それで、その試作品を譲ってもらうことを条件に、ロボカップ参加を決めました(笑)。

編集部
ロボットコンテスト自体が初めての出場だったのに、世界大会でいきなり優勝したということですよね

高橋さん
当時はヒューマノイドリーグができて数年しか経っていなかったこともあり、正直に言うと出場チーム全体の技術レベルは低かった。競技内容も、サッカーと言ってもPK戦、1対1のゲームのみでした。ゴールキーパーもボールに反応できるようなロボットはほとんどなくて、ただ立っているだけ、寝ているだけ、というような状況でしたが、そもそもちゃんと歩いてボールを蹴れるロボットがほとんどいないので、それで良いわけです(笑)。

編集部
ロボカップではチーム内でどのような役割を担当しましたか?

高橋さん
ヴイストンさんが主体になり、私は全体の監修と外装パーツの制作などを行っていました。初年度2004年ポルトガル世界大会に行ったのは、かろうじて社会人の私と石黒研究室の学生2名と合計3名でしたので、私が引率しなければいけない立場でした。現地に到着しても会場は工事中の上、仕様通りに作られていないし、出場者側もレギュレーションを逸脱したロボットを作ってくるチームがいるなどハチャメチャな状態で、驚きの連続でしたね。

編集部
一番難しかったのはどういう点ですか?

高橋さん
難しかったというか、当時からやはり重要だったのはロボットの視覚となるカメラ機能の調整でした。また、そもそもロボットが安定して歩いたり、ボールを蹴ることも決して簡単ではありませんでした。それでも周囲と比べて技術的に頭ひとつ抜きんでていた印象で、無事に優勝することができました。最近はパンチカーペットから人工芝にルール変更があって、もっと難しくなっているでしょうね。

ロボットクリエイターの高橋智隆さん。シャープのロボホンと、東京大学先端科学技術研究センター内の高橋研究室にて。

編集部
初出場・初優勝から5連覇を達成しましたが、その道のりも楽勝だったのですか?

高橋さん
ロボカップでは優秀な機体が登場すると、翌年には他チームも似通ったロボットを作ってきます。そのため、自分たちも前年機体より高性能なロボットでのぞむ必要があり、初年度のように簡単には勝てなくなりました。毎年、常に進化が求められるのです。
例えば、長時間稼働していると、ロボットのモーターに負荷が掛かり、発熱してうまく動けなくなります。そこで、もっとよいサーボモーターが開発出来るのではと、自作のサーボモーターを組み込んだロボットで大会にのぞみましたが、想定通りの性能が出ず、苦労しました。逆に、うまくいったのは、今ではほとんどのチームが採用している「平行リンク構造」のパンタグラフのような脚の仕組みです。ヴイストンの大和社長が考案した発明で、2007年に開発した「VisiON4G」で初めて採用しました。歩行時に膝に負荷が集中することを避けられると同時に、モーターがへたばってきたときにも、後傾してさらに膝に負荷が掛かるという悪循環を防止出来る、画期的なアイデアです。
このように、我々のチャレンジによって競技レベルが進化していったという自負があり、ロボカップ、ひいてはロボット分野全体に貢献できたと感じています。

ロボット教室で子ども達にロボットの魅力を伝える

高橋さんはヒューマンアカデミーロボット教室の顧問もつとめている。ロボット教室では毎年、全国大会が開かれ、2019年も東京大学大講堂(安田講堂)にて開催された。全国24,000名を超える生徒の中から、全国6ヶ所の地区大会(仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)を勝ち抜いて、予選審査を通過した33名と、中国大会を勝ち抜いた中国代表2名、初参戦のベトナム代表選手1名の計36名が全国大会に進んだ。

ヒューマンアカデミー社のロボット教室 全国大会の様子 (写真提供:ヒューマンアカデミー)

ヒューマンアカデミー社のロボット教室 全国大会の様子 (写真提供:ヒューマンアカデミー)

編集部
高橋さんが顧問をしているヒューマンアカデミーのロボット教室では多くの子供たちがロボットについて学んでいると思いますが、子ども達が成長していく上で重視している点やポイントのようなものはありますか。

高橋さん
公教育や大学のカリキュラム的に、過度に効率的・体系的にならないように気を付けています。そうなった瞬間に、多くの子ども達は「つまらない」「難しい」と拒絶してしまう。例えば最初から、モータの回転する原理についての座学や、センサの仕組みを知る実験装置を作らされたら、そりゃ嫌になりますよね。そうではなく、恐竜やカブトムシなどのロボットを作り、その中で子ども達が自発的に興味・関心を持って学び始める、そんなカリキュラムになっています。そんな「遊びのような学び」が理想だと思っているのですが、世の中の勉強は「楽しくないから学べてもいない」という結果になりがちです。

編集部
なるほど。全国24,000名を超える生徒たちがロボット教室で学んでいることが既に大きな実績と言えますね。

高橋さん
ロボット教室は当初より、規模の拡大、スケーリングを重視してしくみを考えました。質の高い教育を多くの子どもたちに提供するには、規模が重要です。それはどんな商売でも同じだと思います。 それまでのロボット教室やプログラミング教室は、1人の優秀な先生が数人の子ども達を教え、育て上げるというしくみでした。それはごく限られた子ども達に、かつ短期的には理想的かも知れませんが、スケールメリットがないため、カリキュラムを充実させることが出来ない。「ロボティクスやプログラミングの専門家の先生が必要」だったり「教室に生徒数分のパソコンや工具が必要」だと、普及・発展していかないのです。なので、我々は、一般の学習塾の環境と先生たちで運営していけるように教材を作り、気軽にロボット教室が世界中どこでも開設できる、ことを重視しています。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化になることもあって、子どものロボット教育への関心は急速に高まっています。子ども達に人気のロボットを活用して学ぶ事で、プログラミングのみならず、論理的思考力、空間認識能力、デザインセンスなどが養えます。既にロボット分野だけでなく、多くの理系分野で活躍する人材を輩出しています。

編集部
高橋さんは全国大会の審査員もしていますが、発想などで関心した例があれば教えてください。

高橋さん
これは全国大会優勝作品のダンゴムシロボットです。ダンゴムシにはたくさんの脚がありますが、モーターはひとつだけです。ダンゴムシにはいくつも節があるので、これを歩かせるには、それら可動式の節を超えて動力を伝達していく必要があります。大人だったりすぐに「無理だな」と諦めてしまったり、「モーターをたくさん付けよう」と考えると思います。でも、このロボットはひとつのモーターでそれを実現し、更にモーターを逆回転させること、身体を丸めてボール状になります。こうした天才の発掘はとてもエキサイティングなことです。そして、もちろん世界中全ての子ども達の能力底上げにも貢献しています。それは「IT版公文式」のようなものだと考えています。

高橋さん「大人でもこのしくみはそうそう発想できない」

高橋さん「大人でもこのしくみはそうそう発想できない」

編集部
その中から、将来のサイエンティストやロボットクリエイターがたくさん誕生するといいですね。

高橋さん
ロボット教室卒業生の中から、ロボカップに出場したり、大学の工学部や高専に進む子ども達が出はじめています。やがて彼らと一緒にロボット開発をする日を、楽しみにしています。

編集部
最後に、ロボカップ参加者、観戦する予定の人たちにひと言お願いします。

高橋さん
ロボカップの最大の魅力は、競技を通じて生み出された技術やイノベーションが、ほかのチームにも共有されて、ロボティクス技術全体が進歩していくことです。また、ロボカップメンバーによって創業したKiva Systems社がアマゾンに買収され(現Amazon Robotics)、物流倉庫で活用されているように、実社会のサービスや製品として技術が実用化されています。世界中の研究者や学生、ロボットファンが、ロボカップを通じて交流していることは、本当に素晴らしいと感じています。

高橋智隆さん プロフィール


たかはし ともたか。日本を代表するロボットクリエーター。株式会社ロボ・ガレージ代表取締役社長。東 大学先端科学技術研究センター特任准教授、大阪電気通信大学総合情報学部客員教授、ヒューマンアカデミーロボット教室顧問、グローブライド株式会社社外取締役。携わったロボットは「ロボホン」「ロビ」「エボルタNEO」「キロボ」「ソータ」「ヴィジオン」など多数。

※ギネス世界記録®はギネスワールドレコーズリミテッドの登録商標です。
※商品名やサービス名は各社の商標、または登録商標です。

特別インタビュー 第2回

コロナ禍で求められるロボカップ関連の最新ロボティクス技術

ロボカップアジアパシフィック2021あいち開催委員会副会長 岡田浩之さん

ロボカップアジアパシフィック2021あいち開催委員会副会長 岡田浩之さん。コロナ禍で求められるロボカップ関連の最新ロボティクス技術

ロボカップは「2050 年までに、ワールドカップサッカーのチャンピオンチームに自律型ヒューマノイドロボットのチームで勝利する」ことを目標に、ロボットやAIなどの先進技術の進歩や発展を目指した国際的なロボット競技大会だ。1997年に第一回が愛知県で開催され、それ以来、毎年、世界を転戦して開催されてきた(コロナ禍の2020年を除く)。
そして2021年、アジア太平洋地域を対象とした国際大会「ロボカップアジアパシフィック(RCAP)」が日本で初めて開催される。 

参考写真「ロボカップ2017名古屋世界大会」より 人間を模した二足歩行ロボットでサッカーをするヒューマノイドリーグ

参考写真「ロボカップ2017名古屋世界大会」より 人間を模した二足歩行ロボットでサッカーをするヒューマノイドリーグ

今回は「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」開催委員会副会長の岡田浩之さんに話を聞く。
岡田浩之さんは、玉川大学の「学術研究所先端知能・ロボット研究センター」の主任教授。「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」開催委員会副会長の他にも、ロボカップ日本委員会の会長、経済産業省が主催する「World Robot Summit(WRS)」サービス競技委員会の委員長も務めている。
1997年のロボカップの立ち上げから関わり、自身もロボカップ世界大会に出場、2008年の中国大会と、2010年のシンガポール大会の「@ホーム(アットホーム)リーグ」で優勝に輝いている。

早速、玉川大学にある岡田浩之さんの学術研究所先端知能・ロボット研究センターを訪ねた。緊急事態宣言が解除された後だったため、ロボット研究センターには学生達が集まり、ロボットの設定や操作をしたり、プログラミングの授業がおこなわれていた。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターの学生達

学術研究所先端知能・ロボット研究センターの学生達

今年のロボカップアジアパシフィック大会はハイブリッド開催に

ロボカップは世界大会、アジアパシフィック大会、ジャパンオープンがありますが、それぞれの位置付けを教えてください。

岡田さん
ロボカップは「ロボカップ世界大会」を頂点として、地域別(リージョン)の大会としてアジア太平洋地域を対象とした「ロボカップアジアパシフィック(RCAP)」、日本国内の大会として「ロボカップジャパンオープン」があります。競技内容はどの大会もほぼ同じですが、ジャパンオープンからRCAPや世界大会に進出するしくみは、カテゴリーによって異なります。
昨年は新型コロナ感染症の影響で、残念ながら世界大会は中止になりました。RCAPとジャパンオープンはリモートでできるカテゴリーの競技のみが開催されました。例えば「ロボカップジュニア日本大会2021オンライン」も初めてオンラインの大会となりましたが、全国から150チーム、375名が参加するビッグイベントとなりました。

編集部
今年は「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」が、2021年11月25日(木)から29日(月)まで、「Aichi Sky Expo」(愛知県国際展示場)で開催される予定ですね。「ハイブリッド開催」も視野に入れて検討されていると聞きました。

岡田さん
はい。現時点(取材日:4月22日)では、出場チームが会場に集まって競技をおこなう通常の開催が予定されています。それが理想ですが、コロナ感染症の状況を考えると、通常開催ができない場合も考慮しなくてはなりません。そのため、オンラインでの参加や観戦ができるようにも検討と準備を併行して進めています。それが「ハイブリッド開催」という意味です。
現地に来て競技できるチームはリアルで参加し、現地の参加が難しいチームはオンラインやリモートで参加するという開催になるかもしれない、そういうケースを想定しています。
※2021年6月28日、現地(オンサイト)とバーチャルの「ハイブリッド開催」を発表。

最新/最先端技術で競うロボカップに向けた研究・取組み

編集部
ロボカップの競技の歴史は1997年に第一回が愛知県で開催されスタートしました。岡田先生はその頃からロボカップに関わってきました。

岡田さん
ロボカップが始まった当時、私は企業に勤めていたので、海外を自由に飛び回って出場するような時間がとれず、メンバーを募ってチームを作るのも困難な状況でした。そんなこともあって、ロボット研究を自由にできる環境を求めて東海大学の教授になり、学生たちの有志を募ってロボカップに出場しようと考えました。大会ではソニーの「AIBO」でサッカー競技をおこなうカテゴリーに出場しました。ただ当時は専門が数学科だったこともあり、ロボカップに出たいという学生が少なく、メンバー集めには苦労していました。
その後、認知科学や認知発達ロボティクスの研究で玉川大学から声を掛けられ、ここに移ってきました。ここではロボットに興味がある学生たちがたくさん集まってきたこともあり、専門の「認知発達ロボティクス」の研究のひとつとしてロボカップに新設された@ホームリーグに出場することにしました。「eR@sers」(イレイサーズ)というチームを結成し、以来ずっと@ホームリーグに出場し続けています。2008年と2010年には世界大会で優勝することができました。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターの学生達

「ロボカップ2017名古屋世界大会」では岡田さん率いる「eR@sers」は第2位となった

編集部
今日もたくさんの学生がロボットと向かい合っていますね。

岡田さん
はい。ロボカップに興味がある学生もいれば、ドローンやDJIのRoboMasterなどに興味がある学生もいます。ただ、コロナ禍で授業がまたオンラインになると、こうして集まって授業を受けたり、みんなであれこれ相談しながらロボットをいじることは難しくなりますね。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

編集部
コロナ禍でロボカップや大学の授業にどのような変化が起こっていますか?

岡田さん
ロボカップの競技面で言うと、「実機」競技では現場でロボットを動かすことが中心でしたが、コロナ禍でリアルに集まることが難しい事態になり、シミュレータを使った仮想空間でのロボットの操作にも必然的に注力するようになったと思います。 大学の授業も緊急事態宣言を受けてリモートが主体になりました。研究センターもロボットをじかにいじることができず、リモートでロボットを操作したり、セッティングできる環境づくりに力を入れています。

編集部
社会とロボットの関わり、ロボカップとの関連についてお聞きしたいのですが、コロナ禍でロボットやロボカップ関連の最先端テクノロジーの必要性の高まりなどはいかがですか?

岡田さん
産業界では、コロナ禍で業務の自動化や効率化、人との接触機会を減らすことなどが注目されていて、そこにロボットの導入が期待されています。ひとつの例が配膳ロボットです。焼き肉屋さんなどでは、注文した食材を自律移動ロボットが運んでくる光景を見るようになりました。清掃ロボットや配送ロボットの導入を検討する企業や団体も増えています。
これらのロボットには、カメラを使った画像認識、センサーを使ったマッピング、自律走行(自動運転)や遠隔操作などの要素技術が活用されています。それらはロボカップでも様々なカテゴリーの競技を通して開発され、活用、研鑽されてきたものばかりです。

編集部
ロボカップの競技で研鑽されてきた要素技術は、社会で使われているサービスロボットにも必要とされているのですね。

岡田さん
例えば、@ホームリーグは、日常生活でロボットの利用を想定し、リビングルームやキッチンなどの家庭環境で、いかに人間との暮らしに役立つ作業ができるかを競う競技です。ドアを開閉したり、モノをつかんだりといったロボットアームやマニピュレーション技術、ロボットが人を追尾したり、ぶつからないで移動したり、モノのカタチを認識・判別して片付けたり、ロボットと人が自然にコミュニケーションして指定された物を運んで来るなどの要素があります。それらの技術はまさに今、配膳ロボットや清掃ロボット、自動配送ロボットなどに使われている重要な技術です。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

@ホームリーグでは、ロボットが自律移動して、机や棚にある物を判別して把持、競技者の元に運ぶ競技などで競われる

ロボカップが始まったとき、カテゴリーは「サッカー」競技だけでした。阪神淡路大震災などを経験し、レスキュー活動にロボティクスを活用すべきという声から「ロボカップレスキュー」がカテゴリーに追加されました。また、掃除や片付けなどの家事、介護など、社会生活におけるサービスロボットの必要性から、2007年に「@ホームリーグ」が新設されました。

(参考写真) ロボカップレスキューは災害現場を想定して、ロボットは悪路を自律と遠隔操作で進む

(参考写真) ロボカップレスキューは災害現場を想定して、ロボットは悪路を自律と遠隔操作で進む

そういう経緯を見ても、ロボカップは社会課題と強く関わり、運動能力、遠隔操作や自律移動、会話など、産業界にフィードバックできる最先端のロボティクス技術を競い、培ってきたのです。コロナ禍で社会がニューノーマルへの変革を求めれば、それに対応するための課題がロボカップには盛り込まれていくでしょう。

「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」の開催について

岡田さん
今回、ロボカップアジアパシフィック(RCAP)が初めて日本で開催されます。アジア太平洋地域は、日本、中国、韓国などロボットの開発や実用化に力を入れている国が多く、とても勢いがあります。RCAPはそんなロボット業界の勢いを世界に示すとても重要な大会だと感じています。ジュニアカテゴリーを含めて、ロボットの研究者たちが競う大会を、ロボカップ発祥の地でもある愛知県で開催できることをとても誇りに思っています。
愛知県には自動車やロボット関連の企業や工場が多く、最新技術の開発や実証実験にも積極的です。サービスロボットの社会実装を促進するための実証実験の場として愛知県サービスロボット社会実装推進事業「あいちロボットショーケース事業」を2019年度から実施しています。
また、今年のRCAPの成果を継承するため、モノづくり現場の自動化を担うロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer(エスアイアー))の人材創出を目的に、全国の高校生を対象とした競技会を2022年度から毎年実施していく予定も先日発表されました。
愛知県から日本中に、そしてアジア太平洋地域に対して、ロボットの勢いを発信していくことはとても重要だと感じています。

関連ページ
愛知県サービスロボット社会実装推進事業
https://aichirx.jp/
【知事会見】高校生ロボットシステムインテグレーション競技会実行委員会を設立します
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/robotconv/robotsileague-20210412.html

編集部
コロナ禍でリモートやオンラインの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されていますが、ロボカップでは遠隔操作やリモート技術の実施については、どのように検討が進められているのでしょうか?

岡田さん
ロボカップでは以前から、サッカーとレスキューについては仮想空間でのシミュレーション競技が実施されています。ハイブリッド開催に伴って、今後は@ホームリーグにもリモートやシミュレーションの導入を検討しています。
カテゴリーごとにそれぞれ検討していますが、例えば@ホームリーグの場合、オンラインについては2つの案で検討を進めています。ひとつは、競技のルールと課題に沿って研究室や自宅でロボットを動かし、そのオンライン映像から審査員が審査する形式です。
もうひとつはシミュレータによる競技です。実機での環境をそのままシミュレーションするものを目指してシミュレータを開発しています。

RCAPに向けて開発中のシミュレータ画面を見せてもらった。元はトヨタ自動車が開発していたシステムで、オープンソースとして公開されたため、岡田さんが指揮をとって@ホームリーグのリモート向けに開発しているシステムだ。

シミュレータ画面には、取材した研究センターを模した環境が仮想空間で再現されている。競技用ロボット「HSR」をリモート操作で実機と同様の動きさせることで、仮想空間での競技を実現する。

シミュレータ画面には、取材した研究センターを模した環境が仮想空間で再現されている。競技用ロボット「HSR」をリモート操作で実機と同様の動きさせることで、仮想空間での競技を実現する。

岡田さん
すべてのチームが全員集まって大会が開催されることが理想ですが、コロナ禍ではそれが許されない状況も考えられます。例えリアルで開催できなくても、オンラインやリモートで競技する方法をカテゴリーごとにそれぞれ検討しています。また、コロナ禍で遠隔からの操作に対する期待も高まっていますので、@ホームリーグでも遠隔操作の技術を競う要素を加えていく予定です。ロボットが自律で判断して動ける状況であれば、どんどんと作業をこなす一方で、人が判断したり操作の介入が必要な場合は遠隔に切り換えて作業を継続するのです。
ロボカップレスキューの実機リーグでは、災害現場をロボットが自律動作し、もしも動けなくなったり、どう動くべきかが解らなくなった場合は、人が遠隔から操作して難局を乗り切ることができます。レスキューではそのようなリモート操作が重要な技術のひとつとして確立していますが、他のカテゴリーでも同様にニーズが高まっていくと感じています。

編集部
これから先は、どのようなロボティクス技術が重要になりますか?

岡田さん
個人的には「ヒューマンロボットインタラクション」関連の技術のニーズが更に高まると考えています。音声によるロボットとの対話、ジェスチャーでのやりとりなど、マルチモーダルなコミュニケーションです。
例えば、@ホームリーグではロボットに言葉で指示を伝えたり、手招きやジェスチャーで移動する方向を指示したり、複数の人の中から手を振っている人をロボットが判断してその人に指定された物を届けるなど、既にマルチモーダルな「ヒューマンロボットインタラクション」を取り入れています。しかし、実用に満足できるレベルにはまだ達していません。
ロボットには人と協働し、共存していくことが求められています。今後は他のカテゴリーを含めて、ロボカップの競技全般に「ヒューマンロボットインタラクション」を取り入れる検討が更に進んでいくのではないでしょうか。

岡田浩之さん プロフィール


日本を代表する認知発達ロボティクスの研究者。玉川大学 学術研究所先端知能・ロボット研究センター主任教授。特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会会長、World Robot Summit実行委員会委員兼サービス競技委員会委員長、日本ロボット学会フェロー、日本赤ちゃん学会常任理事、日本認知科学会常任運営委員など

特別インタビュー 第3回

病院や介護施設で活躍するロボット最前線

藤田医科大学

藤田医科大学 ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センター(RSH&AATセンター)のスペース 手前に見えるのはトヨタ自動車の生活支援ロボット

藤田医科大学 ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センター(RSH&AATセンター)のスペース 手前に見えるのはトヨタ自動車の生活支援ロボット

医療や介護の現場ではどのようなロボットが既に導入され、どのようなテクノロジーが必要とされているのか。未来の医療現場やスマートホームではどんなICT技術が活躍するのだろうか。藤田医科大学 ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センター(RSH&AATセンター)のセンター長 大高先生と、副センター長 田辺先生に聞いた。

参考写真「ロボカップ2017名古屋世界大会」より 人間を模した二足歩行ロボットでサッカーをやるヒューマノイドリーグ

右 藤田医科大学 ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センター センター長 大高 洋平氏
左 藤田医科大学 同センター 副センター長 田辺 茂雄氏

藤田医科大学病院で活躍するロボットたち

編集部
藤田医科大学病院ではどのようなロボットが既に導入されていますか?

大高先生
藤田医科大学病院で導入されているロボットとしてはまず手術支援ロボットがあります。医師の外科手術/腹腔鏡手術を支援するロボットで、世界的に有名なのが「ダビンチ」です(Intuitive Surgical社製)。手術器具や内視鏡を取り付けたアームが搭載されていて、医師は手術室内でロボットを遠隔操作して、癌などを摘出します。当院は全国に先駆けてダビンチを導入し、現在までに2,800を超える手術実績があります。
また、メディカロイド社が開発している日本初の国産手術支援ロボット「hinotori」(ヒノトリ)の開発協力もおこなっています。「hinotori」のトレーニングを支援したり、遠隔手術等の研究や実証実験をおこなったりする施設を学内に開所しています。これまでに、約30㎞離れた病院間を専用高速回線でつないで、実用的な遠隔手術の実証実験を行いました。

国産の手術支援ロボット「hinotori」(ヒノトリ) 

大高先生
また、コロナ禍で活躍しているのが川崎重工製「自動PCR検査支援ロボットシステム」で、日本で初めて導入しました。病院総合玄関ロータリーに設置されたコンテナ内に検体を投入すると、ロボットがPCR検査から解析まで全自動で行います。

川崎重工製「自動PCR検査支援ロボットシステム」

大高先生
その他には「自動調剤ロボット」があります。当院では、処方する薬の約7割を院内で調剤していて、その数は1日平均約1,500人分にのぼります。膨大な種類の中から処方された薬を探して取り出したり、加工したり、患者ごとにトレーに入れる作業を自動調剤ロボットがおこなっています。作業スピードを改善できる、取り違えのミスを防げる、などと評価されています。

自動調剤ロボット

編集部
リハビリテーション(以下、リハビリ)の分野ではどのようなロボットが使われていますか?

大高先生
藤田医科大学病院は、約1,400の病床がある日本でも最大規模の病院です。リハビリ科専用のベッドだけでも60床(※)あり、なおかつ病院内の入院患者全体の4~5割くらいが常時リハビリを受けています。たくさんの人たちがリハビリを必要としている中で、ロボットを導入して効果的な治療を提供するとともに、患者さんの状態を定量的に評価して情報共有し、次のリハビリに繋げていくことが重要になっています。(※関連する4つの病院や施設も含めると210床のリハビリ用のベッドがある。)

学術研究所先端知能・ロボット研究センターの学生達

RSH&AATセンター内にある研究開発用の模擬寝室環境

田辺先生
リハビリでもロボットは既に重要な役割を担っています。2015年5月に当院内に開設されたリハビリテーションセンターでは、トヨタ自動車など多くのメーカーや組織が、産官学連携でリハビリ用のロボットを開発しています。様々な目的を持つロボットが常時臨床の現場で稼働中で、患者さんの障がいや状態に合わせて最適なものを選んで使用しています。 ロボットを使ったリハビリは、米国や日本の診療ガイドラインに記載されるようになり、世界的に有効性が認められています。例えば、トヨタ自動車の「ウェルウォーク」は、脳卒中などによる下肢麻痺の方の歩行練習を支援します。「患者自身の力」を最大限に引き出すことができ、回復のスピードを短縮することが期待されています。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

トヨタ自動車のリハビリテーションロボット「ウェルウォーク」(写真はモデル「WW-2000」)

田辺先生
また、歩行補助ロボット「WPAL」の開発にも携わっています。これは、脊髄損傷などによって両脚が麻痺している方に歩く機会を提供する自立支援ロボットで、ロボットシステム事業を手掛けるアスカや義肢装具の製作販売を行う東名ブレースなどとともに開発をしています。ロボットの支柱を両脚の間のみに配置するという新しい発想のもので、車椅子の上でご自身で装着できます。装着すると、足が麻痺しているにも関わらず立ってバランスをとることができ、日常生活や仕事場での作業の一部を行うことができます。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

歩行補助ロボット「WPAL」(ウーパル)

ロボット導入によってリハビリ期間が短縮されたり、練習の効果が上がったり、活動範囲が広がるなどのメリットがありますが、「リハビリ治療を定量的に判断できるようになる」ということもとても重要です。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

大高先生
手だけを使って治療して、その効果を目で見て確認するリハビリの時代から、画像やデータを活用して治療の度合いを定量的に判断する時代に変わってきています。ICT技術を導入することで治療に関する膨大なデータが収集できるので、進行度が見えるとともに、リハビリの構造化や標準化ができるようになります。これは医療の未来にとってとても重要なことです。

「未来の家」のテクノロジー

編集部
RSH&AATセンター(ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センター)の役割について教えてください。

大高先生
元々は、高齢者などができるだけ長く快適に住み慣れた自宅で生活できるよう、テクノロジーが支援する「未来の家づくり」を推進するために設立しました。現在は、愛知県の「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期」などを通して研究開発を進めています。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

RSH&AATセンターの入口

編集部
「未来の家」にはどのようなテクノロジーが実装されるでしょうか。

大高先生
例えば「IoTベッド」です。ベッドにセンサーを搭載することで、ベッドにいるかいないかを判別したり、危険な行動を判定したり、睡眠時間を測定して記録したりできます。将来的には部屋にセンサーを設置することで、プライバシーを保護した上でトイレの回数を記録したり、心拍数や体温、血圧なども測定できたりするようになるでしょう。
これらのテクノロジーは病院や介護施設でも有効です。患者さんや入居者の状態をセンシングして自動的に記録できれば、スタッフはより重要な他の業務にあたることができます。また、スタッフが常時見守りしていなくても、カメラの画像からAIが離床や危険な行動をスピーディに察知したり、転倒の危険性を予測してスタッフに通知したりすることができれば、事故の防止や早期発見につなげられるようになるかもしれません。夜中の看護師の見回りの際に、患者さんが起きてしまうことも減らせるでしょう。

病院や施設と、ロボット開発メーカーをマッチング

編集部
RSH&AATセンターは、国や県からのロボット社会実装に関わる事業委託で政府や愛知県と連携していますね。

大高先生
はい。行政からの要望もあり、ロボットやデバイスなど、テクノロジーの社会実装を産官学連携で進める役割を担っています。例えば、テクノロジーを必要としている病院や施設と、実用化に向けて開発した技術やロボットなどを現場で試したいというメーカーや研究機関のマッチングをおこなっています。これは新しい技術の社会実装を進める上でとても意義があると感じています。

(解説)
藤田医科大学病院は、厚生労働省の「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム構築事業」や、愛知県の「介護・リハビリ支援ロボット活用促進事業」を受託してこれらの活動を実践している。また、2020年度は「あいちロボットショーケース」事業(現:AICHI ROBOT TRANSFORMATION)にも参画、院内でヒト型ロボットによる消毒作業や、自動運転可能な搬送ロボットによる薬や検体の自動配達作業や消毒作業、追従モビリティなどの実証実験の場を提供した。ロボット開発メーカーにとっては、実際の病院で実証実験を行い、課題の洗い出しや社会実装に必要な機能を確認する貴重な機会となった。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

同院にて人型ロボット「Aeolus」(丸文)が除菌をおこなう様子(2020年度「あいちロボットショーケース」事業)

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

同院にて自動運転の搬送ロボット「AISLE」(シンテックホズミ)が薬や検体の入ったコンテナを搬送する実証実験の様子(2020年度「あいちロボットショーケース」事業) 

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

「多用途搬送サービスロボットシステム」(三菱電機)とスマートシティ・ビル「IoTプラットフォーム Ville-feuille」が接続することで、エレベータや入退室管理システムなどとも連携できる(2020年度「あいちロボットショーケース」事業)

編集部
「あいちロボットショーケース」事業で実証実験を行ったロボット達の評価はどうでしたか。

大高先生
病院側のニーズに対して、満足いく働きをしてくれたロボットと、実装に向けてまだ改良の余地があるロボットが両方ある印象でした。ただし全般的には、実施前の予想よりも活用できる可能性があるロボットが多いと感じました。事前のプレゼンテーションやデモ動画ではわからない、実際の現場でやってみるからこそわかる課題や利点があります。

学術研究所先端知能・ロボット研究センターではキッチンやリビングを模した環境が設置されている

「あいちロボットショーケース」事業、自動搬送ロボットの前で報道陣のインタビューに答える大高センター長(左)

ロボットを社会実装するためのポイント

編集部
病院側から見てロボットの社会実装についてのポイントはどんな点でしょうか。

大高先生
病院に限らず、介護施設や住宅においても同様ですが、「ロボットありきではなく、日常や業務の中にロボットを位置づけ、どのように人と協業して連携するか」が最大のポイントです。いわば、現実の業務フローや生活フローにロボットがフィットする必要があります。

編集部
なるほど。その意味では病院内でロボットによる自動化が早期に実現できそうだと感じる仕事はなんでしょうか?

大高先生
薬、検体、食事など病院内ではモノを運ぶ作業が多いのが実状です。人の代わりにモノを運ぶ位置づけが確立できれば実装は早期に実現しそうですね。また、院内での患者自身の移動手段(モビリティ)も重要です。搬送ロボットとモビリティの実証実験が急速に進められていることを見ても、実装が比較的近いと感じています。

編集部
コミュニケーションロボットについてはどう思いますか。

大高先生
医療現場よりは介護現場で、会話ができるロボットのニーズがあります。高齢者との会話の実験が進められていて、当センターでも研究をおこなっています。ただ、デジタルデバイスを使いこなせる人たちにとっては会話ロボットも活用の可能性が高いものの、高齢者や認知機能が低下している方の話しをロボットやAIが正確に聞き取って認識することはまだまだ今の技術では難しい。ただ、選択肢としてはあり得ると考えていますので、今後もトライアルを続けていきたいです。

編集部
介護士を支援する装着型ロボットはどうでしょうか。

大高先生
介護士は、高齢者や障がい者など要介護者がベッドから起きるのを手伝ったり、入浴の手伝いをしたりするなど、足腰に負担がかかる作業が多くあります。足や腰に装着して介護者のいわゆる力作業を支援するのが装着型介護支援ロボットです。同じ動作の力仕事を繰り返す業務であればすぐにでも活用できそうですが、介護士は多様な作業をおこなっているため、力作業の時だけロボットを保管場所まで取りに行ったり、装着したりする時間や手間、労力がかかるという課題があります。その点が導入が難しい一面であり、改善していくことが重要だと感じています。ICT技術全般で見れば、IoTやAIなどの技術は、介護の現場で確実に活用され始めている一方で、物理的に介護士を支援するロボットはまだ改良すべき点があり、普及が進んでいないのが実状です。

編集部
介護現場にはいろいろな作業があると思いますが、どのような作業がロボットによって自動化されることが将来的に期待されているでしょうか。

大高先生
要介護者の排泄を自動で助けてくれるロボットでしょうね。介護士にとって身体的/精神的に負担が大きい作業ですし、要介護者にとっても自動化されれば心理的な負担の軽減になると思います。しかし、まだそのようなロボットは登場していません。

コロナ禍で遠隔リハビリシステムを導入

編集部
コロナ禍で医療現場はどのように変わり、ICT技術をどのように活用していますか。

大高先生
報道されているとおり、医療現場全般がコロナ禍で大きな影響を受け、変革が迫られています。リハビリ分野も通常は安全管理が徹底されている医療現場のひとつですが、感染防止という観点から見ると、医師やスタッフがリハビリスペースに集まり、患者さんに密着して治療にあたるなど、注意が必要な分野であることを再認識しました。そこでコロナ禍でも感染リスクを避けて治療をおこなうために、遠隔リハビリシステムを構築して導入しています。
元々は、地域の高齢者向けに開発していた、動画等を使って健康体操等を促進するシステムをリハビリ現場向けに応用したものです。心拍や酸素飽和度等をモニタできるシステムと一般のビデオ会議システムを連動し、治療に有効な体操や運動の動画を流して、声がけしながらリハビリの運動をして経過を確認するしくみです。

遠隔リハビリシステムのイメージ図と画面例

編集部
医療現場から、ロボットやAIなどテクノロジーに期待することを教えてください。

大高先生
当センターの最近の取り組みの一例として、電子カルテの記載内容をAIが学習し、解析・マイニングするシステムを、企業との共同開発で進めています。膨大な情報を蓄積し、ビッグデータをAIが解析することで新しい治療方法を探るなど、医療現場でのICT技術の活用については「可能性の宝庫」だと考えています。
手術支援ロボットやリハビリロボットが既に現場で活躍しているのは紹介した通りです。また、治療以外でも病院全般のサービスのオートメーション化も進められています。 社会は長寿高齢化が進み、ただ「生きる」というだけではなく「健康に生きる」というフェーズに変わってきています。社会の変革に対して、医療の現場もテクノロジーで応えていく必要があります。私の所感ですが、医療はX線やCT、MRIなど、テクノロジーの進化や発明、イノベーションによって大きく進歩してきました。同様にこれからは、AIやIoT、ロボットなどのテクノロジーによって医療が大きく変わる時を迎えていると感じています。
ロボカップアジアパシフィック2021あいちのイベント会場でも、ロボティックスマートホームやヘルスケア分野などで、ICT技術が活用されていく未来の一端が見られると思います。ロボカップのような国際的な大会を通じて、AIやロボットの役割や進歩が、一般の方にも広く知られることに期待しています。

特別インタビュー 第4回

ロボットと教育「未来へビジョンを示し、問い続けることが大切」

愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム 客員講師 西山禎泰さん

「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」(RCAP2021)が2021年11月25日(木)から11月29日(月)まで、愛知県のAichi Sky Expo (愛知県国際展示場)などで開催される。ロボカップと言えばロボット競技が注目されがちだが、ロボット展示ブースや各種体験イベント、子ども向けワークショップも用意されている。特に将来を担う子ども達にとって、たくさんのロボットや最新技術に触れて体験することができる絶好の機会となっている。

大学などでロボットによるSTEAM教育を積極的に取り入れ、日本全国の子ども達にイベントを提供しているのが「愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム」だ。RCAP2021では、ロボットの展示エリアを監修するほか、ワークショップなどにも幅広く協力している。今回は愛知工業大学 ロボット研究ミュージアムの客員講師、西山禎泰さんを訪ねた。

「ロボットとは何かと、考えるために常に変化し固定化しないことが、問い続けることにつながる。我々がやるべきことは、未来へビジョンを示し、そしてそのビジョンを問い続けること。これを繰り返す行動から、持続可能な世界とは何かを問い続けることが必要です」(西山さん)

「愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム」とは

「愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム」は、愛工大のキャンパス内にある研究と展示の施設だ。
「ロボット技術を通して大学の重要な使命である「教育」「研究」「社会貢献」の充実を図るべく設置された施設で、2015年4月に活動を開始した。施設の入口にはアニメ等でお馴染みのロボットや鉄人28号、ダンシング・スヌーピーなどが展示され、子どもはもちろん、大人でもワクワクするロボットテクノロジーが体感できる空間になっている。

「愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム」の入口。ロボットの展示、実験用プールが見える。

入口に設置されたアニメで活躍した大型ロボットのオブジェたち (西山さんのコレクション)
(©ダイナミック企画・東映アニメーション、©光プロ、©Peanuts Worldwide LLC)

(©ダイナミック企画・東映アニメーション、©光プロ・東映、©Peanuts Worldwide LLC)

©光プロ
多数のロボットや模型が展示されていて、子どもから大人までワクワクする空間になっている。

©光プロ

その一角で学生たちが実際のロボットの研究や開発を行っている。

ミュージアム内 鉄人・モービルプロジェクトルーム ©光プロ

メカニック・ラボ
4足から2足歩行に進化するスヌーピー型ロボット「ROID SNOOPY」も愛工大「ロボット研究ミュージアム」で生まれた作品 ©Peanuts Worldwide LLC
スヌーピーファンタレーション https://robotstart.info/2018/03/01/snoopy-robot.html

海洋ロボットの研究・開発にも積極的だ。2020年12月に開催された「水中ロボットコンベンション in JAMSTEC 2020 海と日本プロジェクト」(国立研究開発法人海洋研究開発機構)では、愛工大が優勝(Team Blue)と第3位(Team Green)、2021年では優勝、準優勝、3位の成績であった。
https://www.ait.ac.jp/news/detail/0006106.html

ウミガメやマンタなど、海洋生物を模したロボット。イベントでは実際のプールに泳がせて展示する。ウミガメのロボットは現実により近くするために総重量や重量バランスを実物の生物にできるだけ近く設計している。抱えるととても重たいことがわかる。

■動画「マンタRT遊泳動画 2020summer ver」
https://youtu.be/gNaMBoQgf70

「愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム」の中心人物のひとり、西山さんはこう語る。

西山さん
「ロボット研究ミュージアムの特徴は、研究室間・学生間の相互連携を高めるなど、研究の促進を図るオープンな環境が実現しているところです。同じ大学の構内にあると言っても、ヒト型ロボットや海洋生物を模したロボット、産業用ロボット、モビリティー、レスキュー、AI関連のソフトウェアなど、様々なロボットの研究室が各所に分散していたとしたら、なかなかスムーズに交流はできません。愛工大では、それらの研究室をここロボット研究ミュージアムに物理的に集約し、ガラス張りの研究室として公開され、学生や研究者たちが実際に会って、見て、相互にコミュニケーションしていく活きた交流が盛んに行われています。

ロボットはハードとソフトだけでなく、様々な要素技術が集約することで進化していきます。ロボット研究ミュージアムでは、電気学科、機械学科、情報科学科、地域連携など、さまざまなプロジェクトが集まってコミュニケーションをとりながら研究を行うだけでなく、その成果を公開して「見せる」意識を高めるため、あえて「ミュージアム」という名称を冠しています。企業や他の研究団体からロボット開発や実用化の相談を受けることや、産学官の共同研究の促進の場となっています。

更には施設内だけに留まらず、学外でのイベントの開催、出展や協力、出張教室などによって、広く社会へのロボットテクノロジーの認知・教育を推進している。

ロボットと未来の夢「瀬戸蔵ロボット博」

学外でのイベント活動の代表例が「瀬戸蔵(せとぐら)ロボットアカデミー」プロジェクトだ。 愛知県と言えば、2005年に開催された万博(国際博覧会)「愛・地球博」を記憶している人も多いことだろう。その舞台のひとつとなったのが愛知県瀬戸市だ。万博をきっかけに芽生えた文化を継承したい、そういう想いから、愛・地球博開催継承事業の記念展示会として西山さんが中心となって2015年に企画、開催されたのが「瀬戸蔵ロボット博2015」だ。

西山さん
「テーマは「ロボットと未来の夢」です。大学や企業が取り組むロボット研究や関連の技術を展示・実演、すなわち身近で見て体験できる環境を提供することで、将来を担う子ども達に最新技術を通じて、もの作りの喜びとチャレンジすることの楽しさ伝えたいと考えました」。

このイベントは大成功を収め、3年ごとに開催するイベントとなった。2021年3月に開催した最新の「瀬戸蔵ロボット博2021」ではコロナ禍で難しい環境にも関わらず子どもから大人まで5日間で、1万7千人もの来場者が集まった。ただ、前回の2018年は7日間で5万6千人と賑わった。
注目された展示物のひとつが「ロボミッド」だ。西山さんのコレクションから2,224体ものロボットで展示された高さ4mのピラミッドは圧巻、多くの来場者を魅了した。

「瀬戸蔵ロボット博2021」で展示された高さ4mの巨大ピラミッド「ロボミッド」
(提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム・瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)

ロボミッドに展示されたロボットたち ©創通・サンライズ
(提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム・瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)

また、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した上で、事前予約制で実施した、乗れる巨大ロボット「イケドム」乗車体験、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」との触れあい体験会は、募集開始後にすぐに予約が埋まるほどの人気を博した。
そして、マスタースレーブ制御の二足歩行ロボット「AIT鉄人18号」も人気だった。

「AIT鉄人18号」は子どもから大人まで大人気のロボットだ
©光プロ (提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム・ 瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)

西山さん
「このイベントは、モノづくりに関わってくれている人たちみんなが会場作りからチラシの作成まで”子ども達にロボットの楽しさや未来へのメッセージを伝えたい”というとても強い想いが結集してできているものです。ロボミッドも安全に子どもたちに見てもらうために、数か月前から2千体以上のロボットすべてにナンバリングを行い、展示台とロボットをテグスで結んで倒れないようにするなど様々な配慮をしています。これほどの作業を行うには強い熱意がないと実現できません」

小型の協働ロボット「COBOTTA」を身近な調理に

「ロボット研究ミュージアム」では、調理ロボットの研究開発にも積極的だ。デンソーウェーブの小型協働ロボットアーム「COBOTTA」(コボッタ)を2基用いて、餃子を作るロボットを開発した。鍋料理のつみれを作るような要領で餃子の餡(中身)を切って、もう1基のロボットが皮で餡を包み込んでいく。面白いのはこの作業にはセンシングやAIをあえて使用せず、COBOTTAのティーチング機能と定量管理だけで実現している点だ。
このシステムは、瀬戸蔵ロボット博2018年に向けてハッカソン形式で開発を行い、大きな反響を呼び、中部パック、国際食品工業展「FOOMA JAPAN」や「CEATEC」にも出展することになった。
また、「World Robot Summit 2020」の併催事業として開催される「COBOTTA アイデアチャレンジ」でもシステムの紹介がされている。

FOOMA JAPAN 2018 「餃子の餡詰め工程」(デンソーウェーブのYouTubeチャンネルより)
https://youtu.be/z1adMfLDVAw
更にはフライドポテトやポップコーンを盛り付けるシステムなど、社会問題をテーマとしたシステムの開発を継続している。

西山さん
スタッフがこれらの盛り付け作業を行うときにどのように正確な定量化を実践しているかというと、実はフライスクープという道具に溢れるほど入れるという単純作業です。量が足りないとクレームになりますが、多くても問題にはなりません。これをロボットで構造化するなら、センサーなどはあえて必要としない方法も選択できます。

西山さんはセンシングやAIを決して否定しているわけではない。言いたいことは、ロボットを実践導入するために重要なのは「開発コストを高くしない」「複雑な設定や細かい調整が必要だと現場では運用が広がらない」ということ。その前提に立てば、できるだけ単純化して運用できる価値は、利用者がシステムを現場に合わせて再構築するなど多様性に対応でき、メンテナンスの問題においても可能な限り寛容に対応できる仕組みとなります。「プロダクツアウト、マーケットインへの視野に立ち、多様な環境に応じてシステムを構築する、臨機応変につくることが大切です。未来はすべてがオートマチックとなることのみが未来像ではなく、現在よりも多様性を必要とします。我々がつくるシステムは、そのビジョンを示す存在です。」

デンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA」を使って調理ロボットシステムなどを開発
(提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム)

フライドポテトやポップコーンを盛り付けるシステム FOOMA JAPAN 2019
(提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム)

クレープを焼く「COBOTTA」は「瀬戸蔵ロボット博2021」にも展示されて人気を呼んだ。
(提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム・瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)

RCAPの会場でたくさんのロボットたちを展示

「未来を探る因子をロボカップの場でも見つけて欲しい」
西山先生の想いは、うれしいことにRCAP2021の会場でも展示される。
ロボットの起源から現在までの歴史をたどる展示ゾーン「Robotic History」を監修するとともに、人々の身近な暮らしを支えるロボットの展示ゾーン「Smart Life」などにも、ロボット研究ミュージアムが開発したロボットが展示される。

「Robotic History」ゾーン
「Robotic History」ゾーンでは、「ロボットの歴史表現コーナー」として、コンピュータや携帯電話、ロボット玩具や知育ツール、コミュニケーションロボットなど、西山さんが個人的に収集してきたコレクションの数々をロボットの歴史とともに一挙に大公開する。
もちろん、今回紹介した「ロボミッド」や「AIT鉄人プロジェクト」のロボットたちも見ることができる予定だ。

「瀬戸蔵ロボット博2021」より
(提供: 愛知工業大学 ロボット研究ミュージアム・瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)

また、「からくり・からくり改善コーナー」として、「重力や自然エネルギー、他動力などの動力源」×「テコやカムなどのからくり機構」を活用したロボットが紹介される予定だ。
「からくり改善」とは、現場にある困り事や課題を、そこで働く人たちが見つけ出し、重力などの自然エネルギーや、歯車やてこの原理などの簡単な機構・仕組みを用いて、環境負荷を少なくローコストに改善するもの。「からくり人形」の「からくり」と同じ着想であることから呼ばれている。

■動画「からくり改善くふう展 AIT RRM」
https://youtu.be/Wp5qMhoSmko
■からくり改善工夫展2019 努力賞
https://www.ait.ac.jp/news/detail/0004449.html

「Smart Life」ゾーン
「Smart Life」ゾーンでは、コロナ禍で役立つ感染症対策機器「ステリボット」や、非接触環境を実現する配膳ロボット「サーブロボット」など、感染症対策を行い、普通に活動を行うことをサポートする機器を紹介する

感染症対策機器「ステリボット」や配膳ロボット「サーブロボット」などを稼働展示予定

■感染症対策機器の開発を行った産学官連携「心をつなぐプロジェクト」
https://www.ait.ac.jp/news/detail/0005358.html
■あいちロボットショーケース2020に参加
https://robotshowcase.jp/2020/

他にも、人協働ロボット「COBOTTA」によるプロジェクトも紹介する。今回紹介した「COBOTTA」を使った調理ロボットに加え、当日まで秘密裏に開発している新システムも展示する予定だ。

キッズエリア「ロボットパーク」
ロボットとの触れ合いや体験を通して、ロボットの楽しさを実感できるエリア「ロボットパーク」には、ここで紹介した、ウミガメなどの「水中ロボットプロジェクト」のロボットたちも触れ合える。
また、西山さんが企画・開発に関わった「アソブロック」も体験することができる。
「アソブロック」は、自然に動く構造をつくる「想像と創造」の脳剰激の知育玩具。子供たちの「創造と想像」へのチャレンジ心を強くするボールジョイントのブロックだ。

■「アソブロック」とは
https://www.asoblock.jp/about/

以上のような展示・体験コンテンツの提供だけでなく、会場に見学に来る小中学校・高校向けに、ロボットの歴史や、暮らしでの活用などについて、西山先生がオリエンテーションを行う予定だ。

ロボカップアジアパシフィック2021あいち」は、「Next Door with Robots ~ロボットと共に、その先へ~」をテーマに掲げている。
会場にお越しいただき、西山先生の思いが込められた様々なロボットに触れていただければ、きっと、ロボットと共に創る未来への期待が高まることに違いない。

©光プロ

西山禎泰さん プロフィール


河合塾美術研究所、講師、名古屋造形大学、愛知工業専門学校などで非常勤講師。個展7回、グループ展多数参加、デンマーク・レミセン・インターナショナルワークショップ・アートインレジデンスに参加。
オルタナティヴ・アートスペースの企画運営を行う。現代社会へのメッセージとした展示会多数企画、プラモデルとアートのトランスカルチャーをテーマとした「プラモ大作戦」や、ITと移動をテーマとした「TSNE」、などの展示会をプロデュース。
独立個人事務所「NCO」を立ち上げ、「私の仕事館」「トヨタテクノミュージアム」「セントレア」「沖縄夢ロボット博」など国内各地でロボットのイベント活動に多数従事。AIT鉄人プロジェクト・ディレクター。
瀬戸市の「瀬戸蔵ロボットアカデミー」にも従事する。
瀬戸蔵ロボットアカデミー http://robot.seto-marutto.info/
「禎泰・よしやす」という名前が子ども達には読みづらいため、活動名称として「ロボ太郎」を名乗る。

特別インタビュー 第5回

ロボカップにドローン競技が初登場「フライングロボットチャレンジ」のルールと魅力にせまる

大同大学 橋口宏衛さん

「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」に新しい競技が登場する。「フライングロボット」(ドローン)を使った競技で「フライングロボットチャレンジ」という名称で、本戦は2021年11月25日(木)~11月28日(日)に開催される。

赤いロープをライントレースし、自律で飛ぶ小型ドローン

赤いロープをライントレースし、自律で飛ぶ小型ドローン

大会本番に先立ち、10月30日(土)と31日(日)の二日間、同じ会場の「Aichi Sky Expo」(愛知県国際展示場)で研究会が行われ、実際に行われる舞台やドローンの飛行テストなどが行われた。

「フライングロボットチャレンジ」はドローンを使い、自律飛行で競技する

研究会の様子と「フライングロボットチャレンジ」のコンセプトやルール、参加するチームの特徴など、リーグの責任者である大同大学工学部 機械システム工学科 講師 橋口宏衛さんに話を聞いた。

大同大学 工学部 機械システム工学科 講師 橋口宏衛さん

大同大学 工学部 機械システム工学科 講師 橋口宏衛さん

フライングロボットチャレンジの概要

「フライングロボット」は、現時点では「ドローン」をさす。ユニークなのは、ロボカップの他のロボット競技と同様に"自律型"のドローンで競うという点だ。ドローン競技は一般的に遠隔から操縦するものが多い中で、フライングロボットチャレンジはスタート地点を離陸したら、ドローンはシステムによって自動で飛行し、様々な課題をクリアしていかなければならない。では、具体的にはどのように競うのだろうか。
競技のコンセプトとしては「レスキュー」リーグに近い。災害現場で人間に代わってドローンが情報収集や作業を行う設定だ。ドローンは発着地点(ヘリポート)を離陸した後、窓から家屋に侵入、家屋の中を探索し、ノートPCや消火器、救急箱などの目標物や、要救助者を発見する。更には、障害物が置かれている廊下を、赤いロープに沿ってライントレースしながら飛行し、元のヘリポート(ゴール)に戻る。窓からの侵入など、それぞれの課題をクリアしたり、目標物や要救助者を発見したりすることでポイントが加点されるしくみだ。

ヘリポートを離陸したドローン。オドメトリ(ロボットの車輪が回転した量からスタート位置から推定して自己位置や方向を算出する手法、ドローンの場合は計算上の飛行距離などから算出)だけでミッションをクリアできないようにスタート位置には並進運動するヘリポートが採用されている (玉川大学のeR@sersチームがマッピングのための試験飛行をしている様子)

ヘリポートを離陸したドローン。オドメトリ(ロボットの車輪が回転した量からスタート位置から推定して自己位置や方向を算出する手法、ドローンの場合は計算上の飛行距離などから算出)だけでミッションをクリアできないようにスタート位置には並進運動するヘリポートが採用されている (玉川大学のeR@sersチームがマッピングのための試験飛行をしている様子)

離陸したドローンは窓を通って屋内へ侵入する。写真では、3つの窓の下にそれぞれ異なるマーカーが記されているが、本番ではひとつの窓だけにマーカーがあり、その窓を通過して屋内に入ると更に加点される

離陸したドローンは窓を通って屋内へ侵入する。写真では、3つの窓の下にそれぞれ異なるマーカーが記されているが、本番ではひとつの窓だけにマーカーがあり、その窓を通過して屋内に入ると更に加点される

屋内では廊下といくつかの小部屋があり、そこにランダムに置かれている消火器や救急箱、ノートPC、要救助者などを発見することで加点される(写真はノートPCをみつけたところ)

屋内では廊下といくつかの小部屋があり、そこにランダムに置かれている消火器や救急箱、ノートPC、要救助者などを発見することで加点される(写真はノートPCをみつけたところ)

家屋内は複数の小部屋がある。被災者や目標物の捜索を行いつつ、ゴールを目指す

家屋内は複数の小部屋がある。被災者や目標物の捜索を行いつつ、ゴールを目指す

要救助者を想定したマネキンが置かれている部屋もある

要救助者を想定したマネキンが置かれている部屋もある

最終に待ち受けている難関は障害物のある廊下。たくさんの黄色いポールを避けながら赤いロープに沿って通過する

最終に待ち受けている難関は障害物のある廊下。たくさんの黄色いポールを避けながら赤いロープに沿って通過する

全体のコース(例) A) 移動式のヘリポートから離陸、B) 窓から屋内へ侵入、C) 屋内を探索してモノや人を認識、D)黄色いポールで衝突しないように赤いロープをトレースして飛行、E)発着地点に着陸

全体のコース(例) A) 移動式のヘリポートから離陸、B) 窓から屋内へ侵入、C) 屋内を探索してモノや人を認識、D)黄色いポールで衝突しないように赤いロープをトレースして飛行、E)発着地点に着陸

■動画 玉川大学 遠隔操作によるデータ収集
https://youtu.be/3fDQaZkiNwM

「オンサイト参加」と「リモート参加」

「フライングロボットチャレンジ」は実際に会場に来て競技を行う「オンサイト参加」と、オンラインで参加する「リモート参加」をチームが選択できるようになっており、それぞれ3チームずつが参加する予定となっている。「オンサイト」では大同大学から2チームと玉川大学から1チームが参加する。「リモート」では会津大学と、イラン、パキスタンから参加する。

全体のコース(例) A) 移動式のヘリポートから離陸、B) 窓から屋内へ侵入、C) 屋内を探索してモノや人を認識、D)黄色いポールで衝突しないように赤いロープをトレースして飛行、E)発着地点に着陸

玉川大学は練習会に2基のドローンを持ち込んだ。同機のドローンだが、カメラを下向きに搭載した機体(写真)と横向きにした機体をテスト

オンサイト参加は異なる技術で競う展開に

玉川大学は研究会で、遠隔操作によってドローンを家屋内に飛行させてマッピング用のデータを収集。ドローンに搭載したカメラで家屋内を撮影し、その画像データをもとにマップを生成する「Visual SLAM」(※) 技術を使って競技にのぞむ姿勢だ。更にはロープをトレースするための認識技術の確認を行った。(※ カメラ画像を使ってマッピングと自己位置推定を同時に行う高精度な技術)

赤いロープの認識をチェックする玉川大学eR@sersチーム

赤いロープの認識をチェックする玉川大学eR@sersチーム

一方の大同大学は、2チームが異なる戦略で挑む。1チームは超小型の市販ドローンを使ってシンプルなビジョン技術でミッションにのぞむ。

赤いロープの認識をチェックする玉川大学eR@sersチーム

大同大学の1チームは、超小型のドローンとビジョン技術でいどむ

もう1チームは自作のドローンを開発、ハードウェア技術でミッションクリアを目指す。

大同大学のチームが自身で開発したドローン。2基のプロペラは向きを変えることができる(オスプレイのようなティルトローター式)。

大同大学のチームが自身で開発したドローン。2基のプロペラは向きを変えることができる(オスプレイのようなティルトローター式)。

ドローンが自律飛行してライントレースするデモを即興で公開

取材時、橋口先生に「ドローンが自律飛行するところを見せて欲しい」とリクエストしたところ、橋口先生がGitHubなどのライブラリを使って、即興でドローンのプログラミングをしてくれた。そして、赤いロープを認識、それをトレースすることで自律飛行するデモを即興で見せてくれた。これがその映像。1回目は成功している。

■動画
https://youtu.be/i_56_V7vxQE

2回目はロープやポールを難しい位置に変更して、自律飛行に再チャレンジ。ドローンは即興のプログラミングなので、赤いロープのみ認識していて黄色いポールを回避するしくみが入っていないため、ショートカットしようとしてポールに衝突する様子が見られた。

インタビュー 「フライングロボットチャレンジ」の概要と、その魅力

本番ではまったく異なるタイプの技術で各チームが競い合う状況になるため、本番での接戦が楽しみだ。
「フライングロボットチャレンジ」について、競技責任者の大同大学の講師 橋口宏衛さんと、出場する同大学の4年生3人に話を聞いた。

大同大学 工学部 機械システム工学科 左上)橋口宏衛先生、右上) 近藤大地さん、左下) 神戸駿斗さん、日置唯斗さん (いずれも4年生)

大同大学 工学部 機械システム工学科 左上)橋口宏衛先生、右上) 近藤大地さん、左下) 神戸駿斗さん、日置唯斗さん (いずれも4年生)

編集部
「フライングロボットチャレンジ」は、今回の愛知県での大会から初めて公式競技として組み込まれると聞きました

橋口先生
はい。イランのQazvin Islamic Azad大学のMohammad准教授が2018年に「ロボカップUAV」という名称で実施しています。「フライングロボットチャレンジ」はその競技をもとにルールを制定し、ロボカップの正式競技の実験として、今回実施されることになりました。

編集部
チームは参加方法を「オンサイト」と「リモート」から選べますが、それぞれの特徴を教えて下さい

橋口先生
「オンサイト」参加チームは自分たちでドローンを持ち込んで競技を行います。一方、「リモート」参加チームはオンラインでアクセスし、事務局が用意したドローンを、各チームが開発した自律システムを使って飛行させて競うしくみです。現時点では市販されている超小型のドローン「Tello」(テロー)を使う予定です。会津大学、イラン、パキスタンの各チームが参加し、今日の研究会では会津大学がリモートで参加しました。会津大学とは約380km離れていますが、インターネット回線が十分に高速であれば問題なく制御できることがわかりました。本番でイランチームが参戦すれば約7,500kmの遠隔操作になりますね。

この日の研究会に、会津大学がリモートで参加。超小型ドローン「Tello」とのシステム連携や離着陸の感触をチェックした

この日の研究会に、会津大学がリモートで参加。超小型ドローン「Tello」とのシステム連携や離着陸の感触をチェックした

編集部
競技では、各チームともROS(Robot Operating Systemの略称:世界的に利用されているロボット向けソフトウェアプラットフォームのこと)のオドメトリやVisual SLAM技術を使ってマッピングを行うのですか?

橋口先生
いいえ、そうではありません。例えば、今回「オンサイト」で大同大学の2チームと玉川大学の1チーム、合計3チームが参加しますが、それぞれのチームが異なる技術を活用してのぞむことになりそうなので、白熱した競技が予想されています。

編集部
それぞれが異なるとはどのような技術ですか?

橋口先生
玉川大学の場合は今日の練習会で、マッピングのデータ収集に余念がなかったように、カメラ映像で周囲の状況を捉えて家屋のマッピングを行い、本番ではROSとVisual SLAMを使った高精度な飛行でのぞむと思います。玉川大学はロボカップにおいて@ホームリーグの強豪チームとして知られていて、トヨタ自動車の自律移動ロボット「HSR」を使った競技で培ったSLAM技術のノウハウが豊富で、機械学習やSLAM制御プラットフォーム技術も持っています。それら高度なソフトウェア技術をドローンに応用してくるでしょう。
大同大学にはSLAM技術のノウハウやプラットフォームがありません。そのため、大同大学の場合は2つのチームがそれぞれ別の技術を使って競技に望みます。
ひとつのチームは、色認識に代表される古典的な画像処理ベースのソフトウェア技術を使います。機械学習やAIは使いません。

編集部
機械学習やAIなど、マッピング技術を使わずに課題をクリアすることは可能なのでしょうか

橋口先生
競技のルールでは、ミッション毎に得点が与えられますから、前述のC)探索ミッションを行わなくても他のミッションで得点は得られます。ドローンでコース上を飛行して帰ってくるだけでも得点を得ることができるのです。モノや人を認識して座標を提示すれば更に加点されます。古典的な画像処理技術だけでもドローンで窓から家屋に入ったり、廊下を飛行したり、ライントレース技術でロープに沿って飛行することは十分にできます。AI技術が有利な点は、人やモノをみつけるという課題でしょうね。古典的な画像処理でこの加点を得ることは簡単なことではありません。また、SLAM技術で自己位置がわかっていなければモノや人の座標を記録することもできません。

編集部
なるほど。神戸さんと日置さんが画像処理ソフトウェアで挑むわけですね。

神戸さん/日置さん
はい。ロボカップなどの大会に出て、プログラミングをやってみたいと思っていたところ、橋口先生から”ドローンが面白いよ”と薦められて出場することに決めました。ハードから開発すると飛行制御するだけで膨大な労力と時間がかかるので、プログラミングを中心にやりたいなら市販ドローンを使えばプログラミングに集中できるというアドバイスをもらい、僕たちのチームは市販の小型ドローン「Tello」をベースに、ソフトウェアを駆使して勝負することにしました。
普段の生活や趣味ではドローンに触る機会があまりないので、先生に指導をもらいながらドローン用のソフトウェアを開発しているときはとても楽しいです。最初は動かなかったプログラムが四苦八苦した結果、思い通りにドローンが飛んだときは特に嬉しいですね。

編集部
最新のVisual SLAMに古典的な画像処理でのぞむことについてはどう感じていますか?

神戸さん/日置さん
古典的な画像処理では物体の探索は不得手なので、そこはもう無得点で良いと割り切っています。ドローンを安定して飛ばして、ロープをライントレースして無事に帰ってくる、ということでポイントを得る、まずはそれに集中したいと思います。その途中で、モノや人をみつけて認識できたらラッキーですし、今回そこまではできなくても、跡を継いでいく後輩達にノウハウが残せればOKという気持ちで(笑)。

編集部
なるほど。それも作戦のひとつですね。もうひとつの近藤さんチームはどのような戦略なのでしょうか

橋口先生
もう1チームはドローンを自作して、ハードウェアから挑戦してみようと思っています。より困難な道を選びましたね(笑)。

編集部
市販ドローンとVisual SLAM技術で参加するチームに対して、センサーやLiDAR(Laser Imaging Detection and Rangingなどの略称:レーザー光を使って周囲の物体を検出したり測距したりして状況を把握する技術。自動運転などで重要な要素技術として活用されている)など最新鋭の自律飛行技術を搭載したドローンで対抗するという感じでしょうか

橋口先生
いえいえ、それはひとつの理想ですが、実際にはそう簡単にはいきません。センサー類をたくさん積むとそれだけ重くなり、機体も大きくなりますからルートを飛ぶだけでも難しくなります。そもそもハードから開発するということは、安定して飛行するだけでも困難です。市販の完成品は下方カメラでOpticalFlow(各瞬間の画像の移り変わりから、物体の移動や動きなどを算出する手法)などの処理を行っているので、室内でも横に流れたり旋回したりせずホバリングしてくれます。自作機では、まず下方センサを選定し、飛行制御器と連携するところから始めなければなりません。

近藤さん
現時点ではこの機体で参加する予定です。市販のドローンなら安定して飛ぶ技術は最低限搭載されていますが、自作機ではまず安定して飛ぶところから開発しなければいけません。更には機体がとても大きくなりがちで、競技の序盤に窓を抜けるところからして難しいです。

自作のドローンで挑戦する近藤さん。プロペラ2基のいわゆるバイコプターで、安定した飛行だけでも難しい

自作のドローンで挑戦する近藤さん。プロペラ2基のいわゆるバイコプターで、安定した飛行だけでも難しい

橋口先生
理想を言えば、安定した小型の機体にIntelの「RealSense」のような機能を持った小型の3Dカメラ技術やセンサーを導入するのが良いかもしれません。将来はRaspberry PiやJetsonを搭載したインテリジェンスなドローンが登場してくると思いますし、そうなると競技も更に高度になっていくと考えています。しかし、今回の競技に使うドローンは市販製品が中心で、本体にインテリジェンスなデバイスは搭載されていません。演算の処理はドローンが通信する先のノートパソコンやクラウド側で行います。いわば脳味噌が体の外にある状態なのです。
限られた時間と予算、自分たちが持っている技術で競うのがロボカップの醍醐味のひとつですし、今回は”チャレンジ”として開催することもあり、いろいろなアプローチでチームが参加して、切磋琢磨することも面白いですよね。

編集部
最後に、ロボカップの競技から離れて、ドローンの最新事情についてお伺いできますか

橋口先生
GNSS(全球測位衛星システム)に加えて、みちびきやRTK((Real Time Kinematicの略称:衛星を使った高精度な位置情報測位の方式のひとつ。GNSSとの通信で算出した自己位置情報を地上の基地局との通信によって補正することで、より高精度(数センチの誤差)に自己位置を推定することができる)など、自分の位置が正確にわかる高精度測位サービスが提供されるようになり、ドローンの飛行技術は格段に向上しました。この技術を使えば屋外では、指定したルート通りに正確に自律飛行して、誤差数cmの精度で着陸することもできます。しかし、その高度な技術を競技に使おうにも、福島県のRTF(ロボットテストフィールド)ぐらいしか会場がありません。愛知県は他県より恵まれているものの、ドローンを屋外で飛ばせる施設は現状ではごく少数に限られてしまいます。そういう事情もあって、屋内での開催になりましたが、屋内では高精度測位サービスが利用できないので、自律飛行がとても難しくなってしまうのが実状です。飛ぶだけでも難しい機体の開発よりも、市販のドローンを使ってソフトウェアで勝負しようというチームが多くなるのも必然でしょう。それでもフライングロボットは今回から競技に組み込まれ、正式にテイクオフします。
実は、ドローン分野全体でみると、開発者は機体などのハードウェア関連の人が比較的多く、ソフトウェアを研究している人はまだまだ少ないと感じています。そういう意味では、ロボカップのような競技を通じて、ドローンのソフトウェアを開発する人達が増えるのは、業界にとってとても良いことだと考えています。
当日は、コロナ感染症対策をした上で、この会場に来て見ていただくこともできますし、オンラインで観戦することもできますので、多くの人が興味を持って頂き、競技に熱い視線を送って頂ければうれしいです。

追記:
研究会会の2日目。10月31日(日)に撮影されたドローンの映像が橋口先生より届いた。赤いロープをトレースして飛行する動画と窓から屋内に侵入する動画だ。いずれもドローンは自律飛行でミッションを行っていて、赤いロープをトレースする映像では、橋口先生によってソフトウェアがブラッシュアップされたことで、前日の映像よりかなり飛行速度が向上している様子がうかがえる。また、認識したロープがドローンの中心に来るように「左右移動」するプログラミングが加えられていることで、黄色いポールへの衝突もある程度回避するように改良されていることがわかる。

■赤いロープをトレースして自律飛行
https://youtu.be/bh5UHIPYGVg

■マークのある窓から屋内に侵入
https://youtu.be/E6NoGQvmeMw

橋口宏衛さん プロフィール


大同大学 工学部 講師。ロボットの運動制御の研究者。
学生時代、いろいろなロボットコンテストに出場するため、ロボットのフレーム、電子回路の設計、プログラムの開発とさまざまなことに挑戦。
学歴は、立命館大学 ロボティクス学科(学士)、同大学 理工学研究科 情報システム学専攻(修士)、同大学 総合理工学研究科(博士)。